
冨永昌敬監督作『パンドラの匣』を持ち、カンヌへ行って参りました。4分程の英語字幕つきダイジェスト版DVDと英語版フライヤーをリュックに詰め、行商人のような気持ちで、ひとり旅立ちました。
今回は二度目のカンヌ映画祭となります。2000年、映画を仕事とするきっかけともなったのですが、木村有理子監督の短編『犬を撃つ』がシネフォンダシオン部門に招待された際に同行して以来です。ただ、前回は仕事ではなかったのでマーケットの仕組みやどうやってビジネスが行われているのかなどは全く理解しておらず、今年がほぼ初めて同然。期待と不安を胸に、やってきましたコート・ダ・ジュール。
マーケットに約40,000円を支払い登録をすると、バッチと全登録者のリストが与えられます。バッチはコンペティション以外の作品を見たり、マーケットつまり展示会の会場内に出入りする際に必要です。赤絨毯のある入口と同じ建物の裏側の写真です。

会場の中には各配給会社、セールス会社、映画祭などがブースをかまえています。参加者の顔写真つきのリストをもとに、アポを取ったり、直接会いにいったり。
今回『パンドラの匣』を認知させるべく、主に映画祭のプログラマーや海外セールス会社の方々に会いました。今年は世界的な不況のため、映画祭への来場者が減っているようでした。とはいえ、10,000近くの映画人が行きかい、1,500もの映画がマーケットでは上映されるのです。多くの人と出会うには、絶好の場であることは間違いありませんでした。
あるヨーロッパの映画祭のプログラマーと話をしていて、とある作品の話になりました。作品名はまだだせないのですが、映画学校のカリキュラムの一環として始まったドキュメンタリー映画です。日本国内で高く評価され、それが海を越えて彼が関わっている映画祭でも上映されグランプリを受賞しました。この作品を自国で配給する動きがあるのだという。大きな規模ではないが、観客にぜひ届けたいという。映画は、映画祭を経てこうやって広がっていくのだ、と実感しました。先日ドイツの世界最大規模の日本映画祭ニッポンコネクションに行った際にも感じましたが、まだまだ日本映画を求めているひとは居る。言葉は違えど、可能性は海の向こうにも広がっている。「アート系」映画というのが正しい言葉なのかわかりませんが、インディペンデント映画にとってこういった、人と作品との出会いは大切なものである。勇気づけられることでした。
監督週間のオープニング上映とともに行われた、功労賞「金の馬車賞」の授賞式に立ち会うことができました。

映画の可能性は、まだまだ広がっているのです。それは身近なところかもしれないし、海の向こうにも、あるかもしれない。と、心を新たにした旅でした。